第22話
22
「孝也っ!こっち!」
食堂に入ったら瑞季が軽く手を上げて俺をよんだ。
隣りの席に俺の分の朝食が準備されていたので、指を指して確認すると、瑞季は頷いた。
『悪りぃ悪りぃ』
「腹…大丈夫?」
『…へ?…あっ!ぁあ!大丈夫!治った!うん!』
「……腹出して寝てたんじゃねぇの?」
『せっまいのに瑞季がベッド間違えて入ってくるからだろ!』
「わっ!人のせいにしたっ!自分が腹出して寝てたくせにっ!」
『るせぇなぁっ!出してねぇわ!ただちょっと!』
「…ちょっと?」
瑞季がウインナーをフォークに刺してパクっと口に入れながら上目遣いで俺を見つめる。
『ちょっと…腹、出てたのかも…知れませんね』
やべぇ…危うくちょっと勃っただけだ!って言いそうになったじゃねぇか!!
挑発に乗っちゃいけない!
いや、挑発かどうか知らんが!!が!!だ。
『ウインナー、やらしく食べんの止めろや!』
「はぁ?!やらしくなんか食ってねぇわ!!孝也こそ、人がウインナー食ってるの見て何想像してんだよ!バーカッ!」
『なっ!!何も想像してないっ!!』
俺はスクランブルエッグとウインナーとブロッコリーを一気にかき込んだ。
途中、喉を詰めそうになって、瑞季がお茶を手渡してくれる。
「バカみたいに詰め込むからだろ〜、孝也、最近変だぞ?」
俺が変なのか?
おまえが変にさせてるくせに…
俺が…
「孝也…孝也っ!」
『あっ!あぁっ何だ?』
「……やっぱ変じゃん。急に一人の世界入ってさ」
『いや…ちょっと疲れてんのかな…』
ぎこちなく呟く俺に、瑞季が心配そうに肩に手を掛けてくる。
「…風邪?…マジで辛いなら今日休めよ。」
俺は隣りを振り返って苦笑いした。
休める訳ないだろ…
こんな…不透明な感情にオロオロしてるだけなんだから…。
ましてや…おまえを絶対一人には出来ない。
松岡だってニコイチで居るのが1番の策だって…
そう言ってたんだから。
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