第4話
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寮の作りは凸凹の凹の形をしている。
端に第一寮3階建てがあって、その隣は平屋の寮長室、その隣が寮と同じ造りの3階建ての建物がくっついて、一階は食堂、二階がホール、三階が備品庫になっていた。
この辺りの敷地にはこの凹の形が一つになった寮がいくつも並んでいる。
俺は先に部屋を出た瑞季の後を追って廊下を行き、寮長室の前の通路を通り、別館と呼ばれるホールがある二階に向かった。
部屋にはパイプ椅子が並んでいて、もう、余り席が空いておらず、俺は唯一二個並びで空いた場所を見つけて、瑞季の手首を握って引いた。
「ぅわぁっ」
「あそこ空いてるから」
先に瑞季を引っ張り座らせその隣に腰を下ろした。
ザワザワ雑談の鳴りやまない中、一段高くなった教壇に一人の浅黒い生徒が入って来た。
教卓のような机に手を着いて
「はーい!大体集まったかぁ〜い」
と声を出した。
妙にポヤンとした雰囲気の人だ。
「今日から第一寮の寮長になった二年の大野隆だ。寮長は二年になったら、生徒の推薦で選ばれる役職で、二年続ける事になっている。まぁ、実際三年の中頃からは次の寮長に引き継ぎながらになるんだけど…第一寮での不明な点は真ん中にある寮長室に問い合わせて貰ったら構わない。後、問題、決め事なんかはこの二階ホールで集会が開かれ審議される。まぁ、難しい事はない。今日から宜しくという事だ。俺は問題は好きじゃないから、おまえらお利口にしてくれよぉ」
ホールの生徒がドっと沸いた。
胸元のバッヂが赤で二年である事が分かる。フニャフニャ笑って…小さくて色が黒い人…
この人が、俺達の寮長か。
「緩そうでよかったなぁ…。」
瑞季が前を向いたままボンヤリ呟く。
「あぁ…だな…。」
合わせて呟いてから隣に目をやった。
眠そうに欠伸をしてる。
「眠い?」
「ん…肩貸せ。」
「ワガママァ」
「るせ」
コテンと瑞季の頭がもたれかかって来た時、寮長がまた話し始めた。
「で!今日は一つ決めなきゃなんない事が合って集まって貰った!フロアリーダー、つまり副長を決める。副長は三人。今から一階、二階、三階ごとに固まってくれ左から一階だ!ついでに点呼!人数揃ってるか誰か適当に数えといて〜」
俺は肩をクイッと動かす。
持たれかかっていた瑞季がグラッとよろめいた。
「あっぶね!」
「ふふっ行くぞ」
俺が先に立ち上がって手を引いた。
怠そうに立ち上がった瑞季。
流れから話してしまうと一階、二階、三階に固まってリーダーシップを発揮するタイプが人数を数え終わると、ジャンケンが始まったわけだ。まぁ、一番公平感はあるよな。
俺と瑞季は一階の副長を何とか逃れる事が出来た。
けど、瑞季の隣に立ってた奴…随分肩を落としてたなぁ…。
あっ…確か部屋から出て来て肩がぶつかった奴だ。102号室…。
隣の部屋に副長が居る…かぁ。どうにも面倒臭い状況ではあるけど、煙草と酒さえ見つからなきゃどうって事ないね…。
俺は瑞季と並んでホールを出た。
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