第83話
「とりあえずその服は脱がなきゃね」
叔父さんはそう言って私の頭にタオルを乗せたまま手を離したかと思うと、パタパタとその足音は私の元から遠ざかって行った。
———…バタン…
出て行った…
着替えろってことか…
そう思い立ち上がろうとしたその瞬間、
ドアが閉められたこの狭い空間でまたパタパタと私に近付くスリッパの足音が聞こえて私はハッとして動きを止めた。
それは私が立ち上がろうと椅子の背もたれから背中を離した瞬間だったから私はまだ完全に椅子に座った状態で、後ろを振り返らずともこの状況を察した私は直感的にヤバいと思った。
「っ、」
「風邪引くとまずいからさ」
叔父さんは部屋を出てなんていなかった。
「お」
「手伝うよ」
椅子に座ったまま振り返ろうとした私の動きを封じるように、いつのまにか私の真後ろに戻ってきていた叔父さんは私の右耳に顔を近付けるようにしてそう言うと私のブレザーの正面のボタンに両手を回した。
これがなんだか抱きしめられているみたいで、私には死ぬほど気持ち悪かった。
ブレザーの二つあるボタンを後ろから躊躇いなく外した叔父さんに、私は慌てて椅子から立ち上がった。
「っ、…!!」
コイツ…
「…マリ?どうしたの?」
今何しようと…
“どうしたの?”…?
何が“どうしたの?”だよ…
おかしいでしょ。
服脱ぐのを手伝うとかなにキモいこと言ってんだよ、このエロオヤジっ…
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