第65話
「っ、…気が利くお母さんなんだねっ…」
「あっちも見たくねぇだろ。息子がサカってるとこなんか」
「ふふっ、はぁ、はぁ…ったしかにっ…あとで私挨拶しとこうかっ」
「バカ、俺どんな顔すればいいか分かんねぇって」
そこまで話したところで、もういい加減集中しろと言わんばかりに川口は私のソコを弄る指先の動きを早めた。
「っ、ぁっ」
「声出すなって」
「っ、出すなは無理っ!!」
抑えろは分かる。
でも出すなは無理があるでしょ!!
即答で拒否した私に、川口はクスクスと体を揺らして笑っていた。
「あー、ウケる。俺らっていつもギリギリのとこでヤッてるよな」
「っ、」
川口は教室で話すときのような口調でそう言ったけれど、私は依然動き続ける川口の右手の指先に思うように言葉を返せなかった。
それからすぐに私の腰はぐぐっと浮いてきて、川口にしがみついていた両腕にはぐっと力が入った。
「…あ、マリ。俺言うの忘れてた」
「っ、…えっ」
「俺今ゴム切らしてんだ」
「あっ、そうなの?」
さっきまでの余裕のない私はどこへ行ったのか、割と普通に声を出して反応できた自分に我ながらちょっとおかしいなと思った。
これじゃあさっきまでの私が演技だったみたいだ。
今だってそう。
川口の指はずっと私のソコを弄り続けているのに、私の頭はもう完全に冷静さを取り戻していた。
人間ってよくできてるな。
優先すべきことをちゃんと無意識で判断しているんだ。
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