第61話
「んっ…っ、はっ…」
キスが進むにつれてだんだん川口の重みが私の体にのしかかってきた。
しばらくして唇を離した川口は、開口一番によく分からないことを口にした。
「どうだった?」
「はぁっ、はぁっ……んっ?」
息を乱しながらそう聞き返せば、川口は今にも唇が触れそうな距離をそのままに「匂い」と一言呟いた。
「…分かんない」
私のその一言は誰がどう聞いたって見え見えなほどに分かりやすい嘘だった。
ていうか、私にはもう匂いなんてどうでも良かった。
川口にももちろんそれは伝わっていたようで、フッと笑うとまたすぐに唇を重ねて川口の舌は私の口内を動き回った。
そのまま膝をつくように前のめりになった川口は、私を畳の上に優しく押し倒した。
すぐに覆い被さってきた川口の顔は依然近くて、薄暗いせいか私は少しだけいつもよりドキドキした。
…欲しい、
もう目の前まで来たその気持ち良さを全身で感じ取りたい、
気付けば私は両腕を目の前にいる川口の首に回して川口とのキスに夢中だった。
やば…
キスだけで濡れそう…
川口の手はいつの間にかブレザーの裾から侵入きてきていて、その下のセーターとシャツの間で動いていた。
「っ…あー、やっぱ冬服面倒だな」
川口はそう言いながら私に馬乗りになったまま体を起こすと、私のブレザーのボタンを外して大きく開いた。
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