第20話

「んあっ…っ、…はぁっ、はぁっ、ああっ」



少し落ち着き始めていた私の呼吸はまたすぐに乱れて浅くなっていった。




「イケよ」




あぁ、


これが俗に言う“イク”というやつか。



「分かんっ…なっ」


「頭がぶっ飛ぶくらい気持ち良いぞ」



川口のその言葉にそれを体感してみたくなった私は、川口の指の動きが早まったのと同時に体の力を一気に抜いて身を任せた。





イク瞬間はあまりにも呆気なかった。





腰から爪先にかけての下半身がガクガクと揺れ始めたかと思うと次の瞬間一際大きくガクンッと揺れて、それと同時に頭の中が電流が走ったみたいに真っ白になった。






そしてその瞬間、私は今生きているのだと全身で強く実感した。




それからのことはちょっとふわふわしすぎていてうろ覚えだけれど、「俺ももう爆発しそう」と言う川口に組み敷かれてそのまま挿入された。


川口が入ってくる瞬間は少し痛みもあったけれど、私の濡れが十分だったおかげかその痛みはあっという間になくなった。



でも本当は痛かったのかもしれない。


ただその直前に感じた快感が大きすぎて麻痺してしまっていただけなのかもしれない。



挿入後も、川口はもう一度私をイカせてくれた。



そしてその快感もまた、感動を覚えてしまうほどに気持ち良かった。



これを知らないなんて人生損だ…なんて少し大袈裟なことを思ったりもしたけれど、その快感は単にセックスという行為からくるものというよりは生きているという実感からくる安心のようなものに近かった。














 









あの時川口は私を好きだと言ったけれど、あれ以来言われたことはないしそれでもずるずる体の関係を持つ川口が今もなお私のことを好きなのかどうかは分からない。


もっと言えばあの時だってただヤりたかっただけでそんな気持ちはこれっぽっちもなかったのかもしれない。

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