第17話

「えっ、そこ!?」


「俺は別に手とは言ってねぇだろ」


そう言いながらゆっくりとシャツの上から私の胸をやわやわと揉み始めた川口に、恋愛的な気持ちがないとはいえ私はなんだか恥ずかしくなって何も言えなくなった。




「触りにくいからマリもベッド上がってくんねぇ?」


「…え…あ、うんっ」



それから言われるがままにベッドに上がった私は、なぜか川口が触りやすいようにとベッドの上で膝立ちをして広げられていた川口の足の間に入り込むようにして出来るだけ川口に近付いた。



そんな私に、川口は左腕を私の腰に回して抱き寄せると右手でまたゆっくりと私の胸を揉み始めた。





いやいや、なにこれっ…




自分でも今の状況がよく分からなくて川口を見下ろせば、川口はなぜか恥ずかしがりもせずに私を見上げていた。




「っ、そんな見ないでよっ…!!」


「顔見られたくねぇの?」


「当たり前じゃん!!どんな顔してたらいいか分かんないよ!!」


私のなぜか半ギレのようなその言葉に、川口は両手をスッと私から離した。



「じゃあ背中向けてここ座って」



川口がそう言いながらトントンと叩いたのは自分の開いていた足の間で、今まさに私が膝立ちをしているその場所だった。



終わりではなかったことに、私は内心ドキドキしていた。



だってこんなこと、当たり前だけど生まれてから一度も経験したことないんだもん。



未知の領域なんて誰でもドキドキワクワクするもんでしょ…



私がこれまた言われるがままに背を向けてそこに座れば、川口はすぐに後ろから私を抱きしめるように両腕を前に回した。



なんだか包まれているみたいで、それも私にとっては初めての経験だった。



「おー、こっちの方が触りやすい」


川口は前に回した両手で私の胸を優しく掴んでまた揉み始めた。

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