第13話
こんなところで時間がないなんて理由で寸止めされるとかたまったもんじゃない。
「ホームルームなんかいてもいなくても変わんないでしょ」
私のその言葉に川口はフッと笑うと左腕で私の体を抱き寄せたまま私の左の首筋に顔を埋めて、空いた右手でシャツのボタンを上から二つほどだけ外した。
さすがにここで全裸になるまでの余裕はなさそうだ。
そんな川口に応えるように、私も膝立ちをして両腕で川口の首にしがみつき顔を上げた。
川口の唇は私の左の首筋から鎖骨を通って右の首筋へと行ったり来たりしながら、右手はシャツの上から私の胸をやわやわと揉みほぐしていた。
あぁ、気持ちいい…
「っ、…てか川口さ、ちょっともうすでにシャツがはだけてる気がするのは気のせい?」
「ん?気のせいじゃね?」
川口は適当な言葉を返しながらも急ぐように私のスカートに手を入れてパンツを少し下にずらした。
私の首筋から顔を離した川口は私の陰部を指で弄っていて、その刺激に私は思わず膝立ちのまま川口の胸に倒れ込むような形になった。
「っ、っはっ……んっ」
「声我慢しろ。誰か来たらやべぇ」
「んっ…っ、」
私のソコが立てる卑猥な音は川口を煽っているのか、まだ私は何もしていないのに川口の息は「はぁ、はぁ、」と乱れ始めていた。
それでも指の動きを止めない川口に、その快感に身を委ねつつ首筋に鼻を寄せれば明らかに女物の甘い香水のような匂いがした。
さっきまで誰かとイチャついてたのかな。
だからって私は怒ったりはしない。
だって私は川口のことが好きなわけじゃない。
ただ何もしてないとあの二人に引きずり込まれそうになるこの衝動を抑えたくて、それと同時に生きているという実感が欲しくなって求めてしまう。
だから別にその相手は川口じゃなくてもいいんだけど、私は川口としかシたことはない。
私は別にモテる方でもないし、わざわざ体だけの関係の相手を探すほどでもないから。
その頻度を考えれば川口だけで事足りる。
それに私の目的が川口じゃなくてその行為自体である上に内容なんてそこまで重要でもないんだから、もうそれなら川口だけで十分じゃん?
これを川口に言うと「よく分かんねぇけど要するに俺とヤりたいわけだな」と言われるんだけど、別にそういうわけじゃない。
…でも結局のところやることは同じだから、そうなのかな。
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