第6話

画面いっぱいに映し出されたのは、アダルト動画だった。



そのどれもが制服を着た女子高生モノばかりで、中には首のリボンもそのままにシャツのボタンを外してあらわになった胸を激しく揺らしている生々しいものまであった。


そのいやらしい声が聞こえやしないかと慌てて座っていた回転式の椅子を反転させて背後にあった窓から庭を覗けば、叔母さんはお隣さんとおしゃべりをしていた。





良かった…






…にしても、すごいな…



またパソコンへと向き直りマウスで下へスクロールしてみれば、たまに仕事関係のようなものも出てくるもののそれを越えればまた女子高生の卑猥な動画が一定数出てきた。



そしてそのどれもが相手の男の人は叔父さんくらいの年齢の人ばかりのようだった。




これが叔父さんの性癖…




別に叔父さんだって男だし、そういうものを見るのは何も悪いことじゃない。


私は女だからよく分からないけど、男の人ってたまるんでしょ?


それで定期的に出さなきゃ体に良くなかったりとかするんでしょ?



叔父さんと叔母さんにもうそういう感じは無さそうだし、それならこういうものに頼ったって何もおかしくはない。







でも、なんだろう…



とにかく不快だ。





これが女子高生モノじゃなかったら、私の中にここまでの嫌悪感は広がらなかったと思う。




そしてその情報として得た叔父さんは女子高生が好きだという事実は、自分が今その女子高生という立場であることに嫌でも結びついてしまった。




だからこそ、不快で仕方ない。




ここへ来た本来の目的もすっかり頭から抜け落ちた私は、もう部屋に戻ろうと履歴を閉じて立ち上がろうとした。







でもその直前で、画面の隅に一つだけ明らかにおかしな場所へ移動されたフォルダがあった。



そのタイトルは『趣味』。



開く前からもう怪しい雰囲気はダダ漏れだった。


“叔父さんに趣味なんかあったんだ”なんて、もうそんな呑気なことは思えなかった。





ここまで来たらそりゃあ見るでしょ…




これは興味本位というよりは、防衛本能だったと思う。




“自分を守れるのは自分しかいない。”




…本気でそう思った。





私が変な緊張感を抱きながらゆっくりとマウスを動かしてそのフォルダを開くと、そこには履歴と似たような大量のアダルト動画と卑猥な画像が保存されていた。



そしてそのどれもがやっぱり女子高生の制服を着たものばかりだった。



実際にそこで喘ぐ人達が女子高生だったかは分からない。


ちょっと無理あるよって思うような見た目の女の人だっていた。



ただ、その制服からしてその設定が女子高生であることは間違いなかった。






でもそれよりもぞっとしたのは、画像の中には単に街を歩くスカートの短い制服姿の女の子の後ろ姿のものもあったり、よく見てみればうちの制服の女の子の写真もあったことだった。



叔父さん、自分で撮ったのかな…




完全に盗撮じゃん。



やっば…


本気の本気で女子高生が好きなんだ…










…と、その時までは私もまだ他人事だった。









「———……っ、えっ…!?」



その『趣味』のフォルダを深くまで掘り下げてみれば、制服を着た私の写真も大量に出てきた。



更にもっといけば、制服じゃなくてパジャマを着た私だったり寝ている私の写真もたくさん出てきた。



こんなもの、いつ撮ったの…




私が寝てる時に部屋に入ってきたってこと?





私の写真がこのフォルダに保存されているということはつまり、そういうことなのだろう。







あの人、マジでヤバいかも…

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