快楽

「足閉じるな」


「…っ」


浴室の壁に手を付いて、お尻を向けて立てらされている。ひざまずく相手の声が、股の間から響いて来る。



「もっと足 ひらけるか」



指で入り口を広げられ、舌が容赦なく動き出した。



「待って…ダメ…」



見えないものを想像するだけで、濡れた肌が、寒くないのに鳥肌が立っていた。



舌の動きに合わせて、爪先立ちになってしまう。


腰が勝手に跳ね上がり、刺激を求めて舌先へと自ら押し付けてしまう。



その仕草に気づかれない筈がなく、舐め回す舌の動きが振動を速めた。



溢れ出る愛液を吸い上げるように唇を押し当てられ、舌と唇が食い付いて離れない。



「っんぁ…」


声が漏れたのを合図に、舌で舐め上げられ、腰から崩れ落ちそうになった。



「挿れるまで辛抱しろ」



跪いていた姿勢から立ち上がり、後ろ背に抱き締められる。耳元で囁かれる声と同時に両胸を弄られ、果てたばかりの身体は敏感に反応した。



耳を舐められ、指の腹で乳首を摩ってくる。



見た目や言葉とは反対に、触れ方はいつも優しくて、愛されていると錯覚しそうになる。



背中に張り付く肌の体温に、「ここが好きか?」と囁かれ、思わずあなたが好きだと口走りそうになった。



「もう挿れて良いか」


「ん…」


「声聞かせろ」


「…っぁ…はい…」



表情が見えない中、お尻に硬くなったものが当たっているのを想像して下半身が疼いてくる。



一度身体を抱きしめ直され、奥までゆっくり押し広げられた。



お腹に両手を回されて、より身体が密着する。



大きな身体に包み込まれるのは酷く安心した。



「…っ好き…」


「どこがいい?」


「全部…好き…」



好きと言ったら、どこまでも気持ち良くさせてくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る