第81話
「他にも女の子紹介してっていう奴地元にめっちゃいてさぁ、この際まとめてサチが片付けてくんないかなぁ?」
「私に彼氏取られるって何?私藤野に彼氏がいることすらも知らなかったんだけど」
「大丈夫だよー?避妊はしろってちゃんと言っとくからー!」
「ありもしない話勝手に広めないでくれるかな。そんなことで変に絡まれても私困るから」
「でも彼氏いるのにいいのー?マキノとヤっちゃって。…あ、もしかしてアレはまだ彼氏じゃないとか?」
「……」
「あれ?でも昨日手繋いで帰ってたし彼氏だよね?いやぁー、困ったねー。一人じゃサチは満足できないよねー?性欲強いって大変だねー」
「………話にならない」
その時ちょうどチャイムが鳴って、私の最後の言葉は呆気なくその音にかき消された。
———…ガラガラッ…
「はい、席つけー」
教室に入ってきた担任の言葉にみんながガタガタと自分の席に着席する中、私も自分の席へ戻った。
その時背後から聞こえた「消えろ、ブス」は、間違いなく藤野の声だった。
それから机にはそれと全く同じ言葉が大々的に書かれていたから、おそらくこの机に落書きをした人の中に少なくとも藤野はいたのだと思う。
マジックじゃなくてシャーペンで書かれているだけまだマシか。
ホームルームが終わり早々と教室を出て行った担任を、私は慌てて追いかけた。
「先生っ!」
「んあ?」
寝ぼけたような声で返事をしながら足を止めて振り返った担任は、私と目が合うとすぐに体ごとこちらへ向き直ってくれた。
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