第80話
何も言わなくなった藤野は、数秒かけてゆっくりとこちらを見上げると鋭い目で私を見上げた。
「…何?」
「昨日藤野の親友だっていう人が私のところに来たんだけど。男子校の制服着てた。金髪の、」
「うっそ、マジ!?」
先ほどの鋭い目とは真逆である楽しそうな声を出した藤野はタンッと持っていた携帯を机に伏せると、すぐに体ごとこちらを向いた。
「マキノ、マジでサチんとこ行ったんだぁ!」
「…マキノ?名前は知らないけど…それで、」
「でっ?」
私の言葉をかき消す勢いでそう言った藤野に、私は思わず「え…?」と言って固まった。
「マキノとヤったの?」
藤野のその声は、私にと言うよりクラス全体へ呼びかけるかのように大きかった。
「いや…何でそうなるの…」
「アイツ最近彼女にフラれて誰でもいいからヤリたいとか言ってたし。その点サチってちょうどいいじゃん?」
「意味分かんないよ…」
「うわ、さっすがー!早いなぁー!ちなみにマキノの家でヤったの?」
「待って、私シてないよ」
「うわー!私もうマキノの家遊びに行けないよー!ベッド見るたびサチのこと思い出しちゃうじゃんー!」
「だからシてないってば」
「アイツ結構上手いでしょ?中学の時地味に有名だったんだよ?」
「……」
「いや、でもまぁサチともなれば、あんなやつ下の下だよね?特殊性壁とかないと満足しないっしょ?」
「……」
ダメだ…私の話なんて聞く気すらない…
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