第23話
「あっ…ごめっ」
「イカせてくださいって言え」
怒らせてしまったのかと思い慌てて謝った私に、トモキくんの口調は案外普通だった。
「えっ…?」
「“イカせてください”。言え。そしたらお前イカせて俺もイク。それで終わり」
“お前イカせて俺もイク”って、
“それで終わり”って…
その終わりまでの過程は絶対なんだろうか。
私はイカないという選択は存在しないんだろうか。
そこから先の記憶はなぜかとても曖昧で、気付いた時には仰向けになる私のナカにトモキくんはもういなかった。
ただこの脱力感から察するに、私の体はしっかりイッたことだけは確かだ。
私は“イカせてください”と言ったんだろうか。
スカートはホックが外され胸辺りまで目一杯ズリ上げられていて、お腹にはしっかりトモキくんの放出したものが小さな水溜りを作っていた。
「ほら」
そう言って真横にティッシュ箱を投げられたけれど、それは流石にあんまりじゃないだろうか。
「え…?」
「拭けって。ティッシュ代は大目に見てやるから」
「……」
トモキくんはなんだかよく分からないことを言いながら、すでにズボンまでしっかり上げてこちらに背を向け煙草を吸っていた。
腕…縛られてるから拭けない…
それは間違いなくトモキくんに言わなきゃどうにもならないことだけれど、私はしばらく仰向けになったまま天井を見つめていた。
今は何か言葉を発する気にもなれない。
コトラ大丈夫かな…
お腹空いてないかな…
今何時だろう…
「———…あ、」
トモキくんが今の私が自分ではどうしようもない状況であることに気付いたのは、全てが終わったらしい時から五分ほどの、ちょうど吸っていた煙草を丸々一本吸い終えた頃だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます