第14話

靴箱でローファーから上靴に履き替えていた時は、時間がギリギリということもあって人がかなり集中していた。


痛いくらいに感じていた視線はもちろん今もなお健在で、私はそれらから逃げるように教室へ走った。



足が鉛のように重くてもつれそうだ。



教室に入るのが怖い。


中三の時の、騒がしかった教室も私が来れば一気に静まり返るあれをまた味合わなければならないのか。


無視や心無い言葉を投げられることは時間が経てば何も感じなくなる。


でもあの空気は卒業するまで慣れはしなかった。



まるで異物かのような扱いをされながらもなお存在することに、一体何の意味があるだろう。



自分のクラスが見えてきたところで、私は緩やかに足の速度を落とした。



さっきから鳴る心臓のドッドッ…という音は、今にも口から出てきてしまいそうなほどの大きな波を打っていた。



怖いとはいえどうせ入るなら躊躇うことに意味はないだろうと思い、私はそのまま足を止めることなく教室の中に足を踏み入れた。


左肩にかけた鞄の持ち手を両手でぎゅっと脇のところで握りしめ、教室に入ることしか頭になかった私は入り口からたった一歩進んだところで思わず立ち止まった。



でも、



「え……?」



騒がしい教室内の音が止まることはなかった。


それどころかクスクス笑う声も聞こえなければ、こちらに目をやる人もいない。

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