第99話

「自分の家のコーヒー飲んで嬉しそうにしてんのも嘘臭ぇし、この部屋だって綺麗に男の痕跡ねぇし」


「……」


「清楚系ビッチとかよく言うもんなぁ。…あ、いやでもお前はどちからというと清楚系っつうよりは地味系って感じか。そっちの方がしっくりくるな。…ってまぁ別に俺には関係ねぇけ———…!!」



———…ガンッ!!!







本当に本当に、



一体私のどこにこんな勇気が眠っていたんだろう。





気付けば私は持っていたマグカップを勢いよくテーブルに置いていた。


そのまま私は正座から膝立ちをするように身を乗り出すと、ニシヤマくんの顔を両手で挟んでこちらを向かせてキスをしていた。






でもそれはさっきニシヤマくんが私にしたものとは全く違っていて、


ニシヤマくんは私の唇を優しく挟むようにしていたのに対して、私はただ強く勢いに任せて押し当てているだけだった。



「……」



「……」



私はなぜかそのまま頭の中で五秒数えてから顔を離すと、そのまままたその場に正座して俯いた。



ニシヤマくんは驚きのあまりか、ずっと黙っていた。

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