第94話
「なら今も俺の目を見ればいいだろ」
…たしかに。
私、ニシヤマくんの目も好きだ…
そう思いながらゆっくり振り返ると、ローテーブルを隔てた向こうからニシヤマくんは真っ直ぐに私を見つめていた。
「あと今謝る必要はどこにもねぇよ」
謝る…?
“すみません…でもどこ見たらいいのか分からなくて…”
…あぁ、あれか。
あれは謝るというより癖みたいなものなんだけどな。
よく見るとニシヤマくんの肩にはさっき私が渡したものと思われるバスタオルがかけられてあって、ニシヤマくんはキッチンの前に立ち尽くす私を気にせずにそのバスタオルでワシャワシャと髪の毛を拭き始めた。
「……やっぱりちょっと気になるかもしれません」
「ん?」
ニシヤマくんはそう答えながらも、髪の毛を拭く手を止めはしなかった。
「…服着てないの」
「…あぁ、それか」
それかって…今その話してたのに、それ以外に何があるの…?
「気になるなら見てもいいけど…でもあんまジロジロ見られんのも落ち着かねぇから、見るなら俺に隠れて見ろよ」
「……」
ニシヤマくん、何言ってるんだろう…
その言い方だとまるで私が見たいみたいじゃない?
いや、そりゃじゃあ見たくないかと言われたらそれもちょっと違うけど。
しかも“隠れて見ろよ”って…
…でもたぶん、私それ得意だ。
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