第93話
「…え?何って?」
「なんで服着てないんですかっ!?」
「は?いやいや、今俺着るもんねぇし。パンツはそこまで濡れてなかったから大丈夫だ」
「…っ、…」
私が大丈夫じゃない……
黙った私に、ニシヤマくんは少しうんざりしたように「はぁ、」と小さく息を吐いた。
「…あのなぁ、男ってのはお前が思ってるほどパンイチ姿を恥ずかしいなんて思ってねぇんだぞ?」
「…本当…ですか…?」
「あぁ。お前の父ちゃんはパンツで家の中歩かねえのか?」
「歩きませんよ…」
それに私が恥ずかしいのはパンツ一丁だからじゃない。
それをしているのがニシヤマくんだからだ。
「そもそも隠れてんだぞ?ちゃんと布で覆ってんの!見ようとしたって見れねぇの!何も恥ずかしくねぇだろ」
ニシヤマくんは私のお父さんは家の中をパンツ一丁で歩かないと言ったことには何も反応を示さなかった。
自分から聞いてきたくせに…
「すみません…でもどこ見たらいいのか分からなくて…」
「じゃあお前さっきまで俺のどこ見てた」
どこ?
どこ…
どこだろう。
今思えばほとんど俯いてたけど、まぁ強いて言うなら…
「目…ですかね」
ニシヤマくんも、ちゃんと私の目を見てくれてたな…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます