第92話

「あー、スッキリしたー」


シャワーを浴びられたことがよほど気持ち良かったのか、ニシヤマくんは独り言のようにそう言いながらこちらの部屋にやってきた。


ニシヤマくんが部屋の真ん中にあるローテーブル辺りに座ったのがなんとなく気配で分かった。




でもやっぱりまだ顔を見るのが恥ずかしい私は未だにキッチンの方を向いていて、気付けば私はまたニシヤマくんに背を向ける形になっていた。





いつまでもこうはしてられないよな…





「…何日振りのシャワーですか?」


私はさっきよりも落ち着いたトーンで話しかけられたことに内心ホッとした。



「は?…いや、昨日振りだけど」


「あ、そうなんですか?」




あ、そうだ、


ニシヤマくん、彼女…




そう思いつつもこの部屋にニシヤマくんがいることが嬉しくてたまらない私は、地味な上にちょっとアブナイ女なのかもしれない。




「そうなんですかって…いやお前俺のこと何者だと思ってんだよ」


「何者というか、———…ってちょっと何やってるんですかっ!!??」



自然な流れで後ろを振り向いた私は思わず目を見開いて、それからまたすぐに慌てて背を向けた。






だってニシヤマくん、パンツしか履いてなかったからっ…!!!

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