第91話

化粧水、乳液、歯ブラシ……あ、男の人だから一応カミソリも置いておいてあげよう。



ビジネスホテルのアメニティがまさかこんなところで役立つなんて…



そう思った瞬間、


キュッキュッと音がしてシャワーの音が止まり、私は慌てて脱衣所から飛び出して戸を閉めた。






はぁ…セーフ…





「…あ、そうだ、コーヒーだ…!」



私は慌てて部屋に向かうと、ワンルームの部屋の入ってすぐ左にあるキッチンへと足を進めた。





お湯沸かさなきゃ。



私はすぐに電気ケトルに水を注いだ。





すごい…


こんないつもの動作すらも一人の時のそれとは全く違うものみたいだ。




心臓もまだちょっとドキドキしてるし…




私が電気ケトルに水を満タン注いでセットしたのと同時に、スッと脱衣所の戸を開ける音がしてニシヤマくんの足音が聞こえた。



でも、今はまだ恥ずかしくて私はそっちを見れなかった。



外は薄暗かったからまだ見れたけど、こんな明るい場所で顔を見るのはハードルが高い…

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