第83話
「……」
「無視すんなよ」
「い、いやっ、…あのっ…」
違う意味で振り向けなくなった…
だって今目の前にあるのは間違いなくニシヤマくんの右手だし、となれば今私の背中に当たっているのは間違いなくニシヤマくんの胸だ。
私が今このタイミングで振り向けばどうなるの?
近すぎるでしょ…?
「…“あの”…なんだよ?」
「なななんですか、これっ」
「は?」
「だからこの状況ですっ!!」
「いやだってお前がこっち向かねぇ上に無視するから」
この状況を説明するのにその理由はまかり通ってしまうの?
だって振り向かないからってだけの理由でそんな私を壁に追いやるようなこと……
…あ、
あれ…?
もしかして今、ニシヤマくんが私に歩み寄ってる…?
私がゆっくりと振り返ると、予想通り私の真後ろにニシヤマくんはいた。
でも、そのあまりの近さに私はどうしても顔を上げることまではできなかった。
はぁ…
もうこの状況だけで私はこの世の誰よりも幸せなんじゃないかと思ってしまうよ。
もはやここは天国なんじゃないだろうか。
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