第65話
…滑稽すぎる。
根が地味以外の何物でもない私が頑張ったところで、所詮膝丈のスカートが限界。
眼鏡は変わらないし化粧だって服装に合わせて変えるなんて技術は私にはないし、ヘアセットなんてできるわけないからサイドでまとめてシュシュが限界。
そんな精一杯の“女”になろうとしている自分が気持ち悪くて仕方ない。
たまらなくなって左サイドにまとめていた髪のシュシュを少し乱暴に外すと、鎖骨あたりまである髪がぶわっと広がってただでさえジメジメしている中にまた新たな不快感が私を襲った。
スカートも何でベージュなんか選んじゃったかな。
ババアかよ。
参観日の保護者かよって。
でも実際のところはそんなの関係ないんだよね。
ユマちゃんやユマちゃんのお友達が着れば、このスカートだってちゃんと可愛くなるんだろう。
ユマちゃんは優しい。
こんな私を可愛いと言ってくれたし、最後までこんな私と仲が良いと言い続けてくれたし、帰りの心配までしてくれていたし。
でもその心配に私は余計虚しくなった。
あの先に帰った男三人は別に悪いことはしていないと思う。
だってきっと私なんて見えていなかったから。
ユマちゃんには“ケンちゃん”がいたから、だから俺らはもう帰っても大丈夫だなってなったんだよ、きっと。
透明人間なんて、意図せずともなってしまう。
なりたくてなってるわけじゃない。
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