第60話
どうせあと一時間もないだろうし。
こういうのは慣れてるし、そもそもこうなると思ってたから平気。
でも、やっぱり少人数の中での透明人間はくるものがある。
そんな気持ちを誤魔化すように、私は目の前のお酒を一気に流し込んで枝豆を食べた。
…あ、美味しい…
ちゃんと塩きいてるなぁ。
私はそれからもみんなの邪魔だけはしないように、ひたすらパクパクと枝豆を食べ続けた。
たしかにこれは“食事会”だな。
私は周りの楽しそうな声が聞こえないように、頭の中でそっと意識をシャットダウンした。
…すごい。
私こんなことまでできるようになったんだ。
でも、
どんなに音を断ち切れたつもりになれても私の頭の中の意識ははっきりとしていた。
虚しい。
苦しい。
恥ずかしい。
消えたい…
ニシヤマくんは今、どこにいるんだろう。
またニシヤマくん…
今日が雨だったから?
あの駅を使ったから?
私が九年も彼のことを思ってきたから?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます