第53話

———…翌日、夜七時。



合コン当日は朝から雨だった。




私はユマちゃんに事前に言われていた職場の最寄駅にいた。



ここで先に女の子集合か…



そう言えば最後にニシヤマくんを見たのはこの駅だったな。





一応辺りを確認してみたけれど、どこにもニシヤマくんの姿はなかった。


そりゃいつでもいるわけじゃないもんね。





「ナナミーっ!」


突然大きな声で名前を呼ばれて顔を上げれば、こちらに小走りで駆け寄るユマちゃんがいた。



「ごめん、遅くなった!」


ユマちゃんはボーイッシュなミニスカートを履いていて、膝丈のベージュのスカートを履いてきた私は何だか一気に恥ずかしくなった。


普段全くスカートなんて履かないから落ち着かないし、やっぱりどこまで行っても私は地味だ。


かと言ってそんな短いスカートを履く勇気なんてさらさらないから結局はどうしようもないことだけれど。



「ううんっ、全然!」


「残り二人はまだ来てないか…」


そういえば四対四って言ってたっけ…


「…あの、残り二人って…」


「あ、うん!私達以外の女子二人は私の高校の時の友達!普通に良い子だから安心してね!」


それからユマちゃんは男性陣の幹事は昔のバイト仲間で他の男三人はユマちゃんも知らない人だと教えてくれた。




ユマちゃんも知らない人だと聞いて、私は少し安心した。




「ナナミ、スカート可愛いじゃんっ」


「全然!!こんなのしか持ってなくてごめんっ…」



なぜか謝った私に、ユマちゃんは「可愛いってば!」と笑った。




それからすぐに合流した他の女の子二人も、ユマちゃんのお友達なだけあってすごく可愛かった。


ユマちゃんが二人に私を軽く紹介してくれて、私達は四人で繁華街の方へ向かって歩き出した。




もう、この時点ですでに帰りたい。




男の人がいるとかいないとか、私にはきっと関係ないんだ。


それ以前の問題だ。


こんな住む世界の違う人達となんて歩くだけで恐れ多いよ。




…でも、ユマちゃんがいるおかげで私は透明人間にはならなかった。

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