第47話
「いや、私はっ」
「いいんだよ、それで!とりあえず行ってみようよ!ねっ!?」
「…っ、…」
結局私は押されるがままに断りきれず、ユマちゃんに「詳しいことは決まったらまた言うね」と言われてその日は終わった。
ユマちゃんが具体的な話を持ってきたのはそれから三日後の金曜日だった。
「合コン明日になったから」
その言葉に、朝一でサンドイッチ用のたまごサラダの仕込みをしていた私は思わず手を止めた。
「っ、明日っ!?」
「うん、そう」
隣で同じように仕込みをするユマちゃんは必死にクロワッサンの生地を次々にくるくると巻いていた。
「ごっ、合コンっ!?」
「いやだからそうだってば」
ユマちゃんは焦る私にクスクスと笑いながらそう言った。
「早くないっ!?」
「早くないよ、何言ってんの」
「いや、早いよ!!まさか話した週末に早速なんて、」
「はぁっ…」
ユマちゃんは私の言葉を少しわざとらしいため息で遮った。
「これだから九年もボーッとしてた奴は困るわぁ」
ユマちゃんの言うそれは間違いなく私がニシヤマくんを想っていたこの九年のことで、
ボーッとしていたなんて言われても私は何も言い返せなかった。
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