第46話

安藤さんに食事に行こうと誘われたあの日から、もう二週間。


“考えてみて”と言われていた食事の件を、安藤さんは全く急かしはしなかった。




でも実はあの答えを待ってたりするのかな…




安藤さんに対する変な後ろめたさを感じながら仕事に戻れば、すぐにユマちゃんも休憩を終えて戻ってきた。



悪いことしちゃったかな…



「…安藤さん何か言ってた?」


私がユマちゃんの元へ行ってそう聞けば、ユマちゃんはいつも通りの笑顔で「気になる?」と私に聞き返した。


「そういうわけじゃないけど、何か罪悪感が…」


「え?」


「気になるって言われた時、食事にも誘われたんだ。“考えてみて”って。…でも私それに対してまだ何も言えてなくて、それなのに合コンには行くのかよって感じで嫌な気分にさせちゃったかと思って…」



さっきの胸のざわつきの正体は絶対にこれだ。


安藤さんを都合良く待たせている気がしてならない。



私の分際で…




「そんなことないでしょ」


ユマちゃんは意外にも平気そうに即答した。



「告白の返事待ちさせてんならまだしも、“気になる、ご飯行こう”だけでしょ?全然セーフだよ」


「うん…でも、」


「それに本当に行かせたくないならまだ全然止められるでしょ?さっき聞かれたよ。“その合コンいつ?”って。まだそこまでは決まってないって答えたけど」


「そっか…」




なら…大丈夫かな…




今の私は、安藤さんに嫌われたくないというよりは悪者になりたくないという感じだった。





「やっと行く気になったか」


その言葉にユマちゃんに視線を向けると、ユマちゃんはニヤニヤしながら私を見ていた。

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