第44話
これは安藤さんに言ってもいいことなのかな…
私がそう思った瞬間、
「今度行く合コンの話です!!」
ユマちゃんは遠慮なく安藤さんに笑顔でそう言った。
言ってもいいの…!?
私のその心配は合コンどうこうじゃなく、“安藤さんに”という意味での心配だった。
でも、安藤さんは案外普通の顔で「へぇ、そうなんだ」といつも通り爽やかな笑顔でユマちゃんの左隣の席に座った。
だから、私の心配は無駄かに思えた。
でも、
「安藤さん、もたもたしてたら他の人にナナミ取られちゃいますよー?」
「ユマちゃんっ…!!!」
「っ、えっ、何!?ナナミちゃんも行くのっ!?」
安藤さんはてっきり合コンに行くのはユマちゃんだけだと思っていたようで、少し大きな声で驚いた反応をしていた。
なんか恥ずかしい…
こんな地味な女が合コンとか、ありえないですよね…
「…いや、」
やっぱり断ろうと口を開いた私を気にせずに、ユマちゃんは「もちろん行きます!!!」とこれまた遠慮なく安藤さんに言ってのけた。
「え、ナナミちゃんって、…このナナミちゃん!?」
安藤さんは掌を上に向けて遠慮がちに私を指し示した。
ここで私以外の“ナナミ”の話なんてするかな。
でも、そんなことも考えられないくらい安藤さんは驚いたんだと思う。
だってこの私が合コンって…
天と地がひっくり返ったってありえないようなこと。
合コンなんて私には無縁のイベントだ。
「流れ的にこのナナミしかいないでしょ」
「そう…なんだ…」
安藤さんの顔は引きつっていた。
なんだろう、この感じ。
胸がざわざわする。
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