第43話
「たしかに別にその二択ではないわ」
「ユマちゃん、」
「じゃあ合コン行こう!!」
「えぇっ!!??」
思わぬ展開に、私からは今日一番の大きな声が出た。
「まずその二人以外と出会わなきゃ始まるものも始まんないもんね」
ユマちゃんは独り言のようにそう言うと、「うん、そうしよう、そうしよう!」とボソボソ言いながらまたカップを両手で持ち上げてコーヒーを飲んだ。
「っ、いやちょっと待ってよ、ユマちゃん…!!」
「なに?」
「無理だよ、私合コンなんて!!行ったことないしどんな感じなのかなんて全く分からないし、」
「そりゃあ誰だって初めは行ったことないよ?でも一回行ってみて“行ったことある”になるんだから」
焦る私とは対照的に、ユマちゃんはかなり落ち着いた様子でコーヒーを啜っていた。
「いや私無理だって、本当に!!」
「大丈夫。私がちゃんとセッティングするから信用してよ」
「っ、」
「ちなみに合コンイコール付き合うでもないから!!」
ユマちゃんは私が言葉を発するギリギリのところで遮って私の反論を封じた。
私はもう何も言えなくなって一人で焦っていたけれど、ユマちゃんは「クロワッサンもう一個買えば良かったな」と呑気なことを言っていた。
合コン…
いや、もうもはや合コンって何…!?
私、何も知らない…
それは二十四でも許されるのか?
例えば十九歳とか二十歳の子が“初めてなんです”って言うのとはちょっとわけが違う気がするんだけど…
それにユマちゃんの友達とかなら絶対私とは住む世界の違う人達じゃん…!!!
また透明人間になるじゃん…!!
「ねぇユマちゃん、私やっぱ」
「もう!覚悟決めろ!!一回行ってみてからもう行かないなら分かるけど、行ったこともないのに無理とか言うな!!」
「いやっ、で」
「なになにー?何の話ー?」
突然聞こえた陽気な声に私達がそちらに顔を向ければ、そこには持ち帰り用のアイスコーヒー片手にこちらに近付く安藤さんがいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます