第41話
「その人高校の同級生なんだ。三年間同じクラスだった。話したことはないけど…でも私ずっと好きだった。久しぶりに見たらね、私のケーキみたいな初恋がこう…ぶわっと…もう一気に蘇っ」
「え、何?再会したってこと?」
ユマちゃんは私の言葉を遮ると真剣な顔でそう言った。
そりゃそうだよね。
訳分かんないよね。
まだ出会ってないしこれから出会うかどうかも分からないとか言いながら高校の同級生だとか言ってるし。
「…してない。半年前にたまたま見つけただけ。それで今もたまに姿を見かけるだけ。…でもまさかまた彼に会えることがあるとは思ってもいなくて私ビックリしちゃって、…で、今彼はたぶんホームレスで、」
「え、じゃあ何?高校の時から今までずっとその人が好きだったなの?」
私の言った“ホームレス”は気にならなかったのか、ユマちゃんは驚いたような顔で私の気持ちを確認してきた。
「…うん」
「すっご…」
「いやっ、全然だよっ!!!その間会話はおろか何もできてないし、それに、」
「いや、別に褒めてないよ」
「……え?」
ユマちゃんは私の謙遜をぶった切ると、「はぁ、」と深いため息を吐いた。
「え、なに?どういうこと?」
私はユマちゃんの考えていることがよく分からなくて、今度は私がユマちゃんの方へ前のめりになっていた。
「いや、普通に考えてその九年もったいなさすぎるでしょ。高校生の間はまだしもさ、卒業してのその六年はかなり時間を無駄にしてると思うよ」
「……え……」
私の声は小さすぎてユマちゃんには届かなかった。
「だってどこで何してるかも分からない人を六年も一方的に想い続けてたんでしょ?」
「……」
「んでこの半年何もできてないんでしょ?」
「……」
「さっきケーキがどうとか言ってたけどさ、その初恋とっくにカビ生えてない?」
「…っ…」
カビ…?
カビかぁ…
えっ、カビ…!?
「んで今はホームレスだって?」
…あ、それ気にならなかったわけじゃないんだ…
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