第37話
「ユマちゃんって、彼氏いたことある?」
「そりゃあるよ。もう二十四ですから」
「…私も二十四」
「うん、そうだね」
ユマちゃんは知ってるよと言わんばかりにそう言った。
ユマちゃんはこんな私に彼氏がいたことがあると思っているのかな。
どっからどう見ても彼氏なんていたことないでしょって感じだと思うんだけど…
「でも私、彼氏なんていたことない…」
自分で言っていてすごく虚しい。
でも、どうしようもなかった。
だって私が好きになったことがあるのは後にも先にもニシヤマくんただ一人だし、それならもう私が付き合う相手ってニシヤマくんしかいなかったから。
それが無理なら必然的に私は誰とも付き合うことなんてできるわけがない。
「あぁ…え、なに?それで悩んでんの?」
「いや、…」
そうだけどそうじゃないっていうか…
「そんなの気にすることないよ。彼氏いたって言っても今はいないわけだし、私とナナミは何も変わらないよ?」
「……」
そうだろうか。
その経験があるかないかで、今後誰かと付き合う可能性は大きく変わってくると思う。
もちろん過去の恋愛歴で人の良し悪しを判断する人なんてそうそういないだろうけれど、私のように何の経験もないとアプローチの仕方とか付き合うまでのプロセスがよく分からない。
ていうか付き合ってからのことだって何も分からない。
だから正直、あの駅で見かけたニシヤマくん達が実際付き合っているのかどうかなんて私には見当もつかない。
付き合っているからあの状況になりえたのか、
そもそもどっちにしてもあの状況はありえるのか、
男の人との関わりが全くない人生だった私には、何も分からない。
ただ分かることはあれは確実にニシヤマくんからあの女性に歩み寄っていて、二人の顔はやけに近かったということ。
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