第20話
「まぁでも大人しいナナミにはこれくらい分かりやすい方が丁度良いと思うけど」
「…っ…」
「良い人だと思うけどなぁ、安藤さん」
「……うん、それは私も…思う…」
本人はもうこの場にいないのに、それでもなんだか恥ずかしさの方が勝ってしまった私の声は思わず尻すぼみになってしまった。
考えてみれば私を空気として扱わなかった異性は安藤さんが生まれて初めてかもしれない。
私を女の子として見てくれている。
化粧してて良かったかも…
でもこの感情にはっきりと自覚していることは、これはトキメキではないということ。
ただ、初めて男の人にそういう扱いをされたことに恥ずかしさが全面に出てしまっているだけだ。
やっぱりニシヤマくんほどの惹かれる何かはない…
大して話したこともないのに。
ニシヤマくん、
あなたは一体何者ですか…?
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