第19話

「照れてないで教えてよー。てかそれ何?」


もう一度ユマちゃんの顔を見ると、ユマちゃんはもうニヤついてはいなかった。


「…あぁ、うん。京都の出張土産のマカロンだって」


私がそう言ってさっき渡された紙袋をユマちゃんに差し出すと、ユマちゃんは勢いよくそれを受け取って袋の持ち手を開いた。


「マジっ!?」


「うん。みんなで食べてって言ってた」


「やった!!マカロン超好き!!」


素直に喜ぶユマちゃんはとても可愛かった。


私もそんな可愛い反応ができたら良かったのになぁ。じゃなきゃ安藤さんだってあげた甲斐がないってもんだよね。



「…で、そっちは?」


ユマちゃんはいつの間にかマカロンから私の持つあぶらとり紙の入った紙袋を見ていた。


「あ、これはあぶらとり紙」


「へぇ…」


ユマちゃんは意味深な言い方でそう言うと、またニヤニヤしながら私を見ていた。


「…え、何?」


「何って分かってるくせにー」


ユマちゃんはそう言うと、私の体を押すように少し強めに肩をぶつけた。



「べべ、別に違うから!!」


「違うって?」


ユマちゃんは意地悪だ。


それこそ何が言いたいかちゃんと分かっているくせに。



「いやだからっ、」


「だってそれ私には無いんでしょー?」


「いや、うん…まぁ…」


「安藤のヤツ、気が利かねぇなぁー」


ユマちゃんはわざとらしい乱暴な言葉で、冗談っぽくそう言った。


「ユマちゃん…!」


「あははっ、冗談だって。でも安藤さん、分かりやすいよね」


「……」



やっぱりこれは勘違いじゃないみたいだ…

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