第18話

「いやっ、違います!!嬉しいんです!!私こそごめんなさい!!私、男性からこういうのもらったりするの本当に慣れてなくて…だからそのっ———…」


そこまで言って顔を上げた私は、思わず固まった。




安藤さんの顔が赤かったから。




「えっ…?何で安藤さんが照れてるんですか…?」



私はなぜか恥ずかしさよりも疑問で頭がいっぱいになった。



「いや、だって“男性”とか言うから…」


「…っ、…」


安藤さんの言葉にまた更に恥ずかしくなった私は、何と言えばいいのか分からずとりあえずまた俯いた。




勘違い…じゃないかもしれない…




こういう時、みんなはどうするんだろう。


何て言うのが正解なんだろう。



「…あ、やべっ」


その声に顔を上げると、安藤さんは腕時計を見ていた。


「じゃあ俺もう行くね!これ渡しに来ただけだから!」


安藤さんはそう言うと、まだ少し顔が赤いまま私に背を向けて店から出ようとした。


「えっ、でもまだコーヒー…!」


「俺これから会議なんだ。また後で買いに来るよ!」


振り返った安藤さんはそう言うと、軽く私に手を振って行ってしまった。



立ち去り方まで爽やかだ…






「安藤さん、何だって?」


「———…!」


突然耳元で聞こえたその声に私が驚いて後ろを振り返ると、そこにはニヤニヤしたユマちゃんが立っていた。


「ビックリした…」


「二人で照れ合ってんの、側から見てたらなかなか面白い絵だったよ」


「やめてよっ…」


私は恥ずかしいのを隠すように、大して下がってもいない眼鏡をくいっと上げた。

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