第14話

「マジ二千円返せよ、腹立つー」


「まぁいいじゃん。それも勉強代だと思いなよ」



勉強代…あぁ、なるほど。

なかなか賢い考え方だなぁ、それ。



「いやいやその勉強代にしては高いですよー」



あ、そうなの?


なんか私には未知すぎてよく分かんな……





…え?


てか私、何してんの?


化粧しに来たはずなのに、さっきからずっと人の話を盗み聞きしてるだけじゃん。



そう思い手元に落としていた目線をゆっくり上げると、眼鏡をしていない私の視界は変わらずボヤけていて、そんな中でも鏡に映る地味な自分が何となく確認できた。





はぁ…コンタクトにしようかな…



いや、そういう問題じゃないか。



私は眼鏡がなくたって地味には変わりないわ。




私が見えないながらにもなんとかファンデーションを塗り始めると、その三人組は話に花を咲かせながらすぐにパウダールームから出て行った。



ドアが閉まった瞬間、私は右頬に乗せていたスポンジを持つ手をピタリと止めた。

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