第3話

「———…っ!!!」



ヤバい、意識飛んでたっ…!!!!



ベッドの上で飛び起きて時計を確認すれば、目が悪いせいで針がぼやけてうまく確認できなかった。




すぐに右手を伸ばして時計を引き寄せると、私は思わず目を見開いた。



時刻は八時半だった。



「やっば…!!!」



持っていた時計をベッドの上に放り投げて、私はすぐに洗面所へ走った。



とりあえず顔を洗って歯を磨いて…



ダメだ、何も見えない!



とりあえず眼鏡…!!




部屋に戻りテーブルの上にあった眼鏡を急いでかけると、視界は一気にクリアになった。



適当に準備を済ませて家を出ようと玄関に向かった私は、靴を履く直前で思わず足を止めた。





「……っ、…」




ダメだっ…


やっぱり一目見とかないと…!





私はすぐに部屋へ引き返すと、窓を開けてベランダに出た。




———…いた…!



今日も彼はちゃんとそこにいた。



私の住むアパートの目の前の土手沿いに座るその人は、こちらを向いているのに距離があるせいで眼鏡をかけていてもその表情までは確認できなかった。

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