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行きつけの店は、拓と良く飲みに行く場所でもある。カウンターからテーブル席、個室もあって使い易く、なんせ料理が美味い。
個室は予約制で、拓が予約をしてくれた。
近くの駐車場に車を停め、彼女を店へ案内する。
「凄い…四季くん大人だね」
「え?何が?」
「こうゆうお店、初めて来た」
店主には申し訳ないが、その辺にある普通の居酒屋と何ら変わりはない。
連休中と言うこともあってか、入り口は混雑しており、店員が声をかけて来るのを待っていた。
「高校生って、こうゆうとこ来ない?」
彼女の身長に合わせて耳元に話しかけると、彼女もまた、俺の肩に手を当て、耳元に顔を寄せるから、隣に姿勢を傾けた。
「うちの学校の生徒は、規則で保護者同伴じゃないとアルコール提供するお店に入れないの」
「はぁ…?」
「今日は四季くんが保護者だね」
そんな可愛い事を言われると、規則とかルールとか、どうでも良くなってくる。
直ぐに店員に声をかけられ、拓の名前を伝えると、個室へ案内してもらった。
「もう来てるんだって」
「あ、そうなんですか?」
店員が案内してくれた個室は座敷ではなくテーブル席で、襖を開けたらそのまま座れるようになっていた。
「よう四季!」
開けるなり入るなり、変わらないいつもの拓が出迎える。
「先に来てたんだな」
「おうよ!居てもたってもいられず…あ、こちらの
彼女に気づいて、拓が声をかける。
「あ、初めまして…
自分が紹介しようとする前に、彼女は自ら進んで自己紹介を始めた。
思わず拓と顔を見合わせる。育ちの良さが俺らとは違うな…と、一瞬で拓と心が通じ合った。
「あ、これはご丁寧に…まぁどうぞ、座って下さい」
急に接待染みた対応をする拓に職業柄仕方ないのかと腑に落ちる。
「改めまして、四季とは高校からのツレ…仲間…お友達で、
「はい。拓さん、こちらこそよろしくお願いします」
頭を下げた彼女は、一々所作が丁寧だ。今年31歳になる自分らとは大違い。
「適当に注文しといたから、
拓が彼女に声をかけると、「その時はお願いします」と答えた。
「彩ちゃん、帰りたくなったら言ってね」
「おい!早々に帰らそうとすんな」
「声がでけぇんだよ」
「おめぇは態度がでけぇだろうが」
言い合って、拓と気付く。隣に座る女子高生が一番静かに食事をしている。
「飲み物、何にする?」
拓がメニューを開く。
「ジンジャエール」
「じゃあ俺も…」
「飲まねぇの?」
「今日飲んで帰ったらしこたま怒られる」
拓が怒られてんのはいつもの事だ。
「彩ちゃん、何飲む?ソフトドリンクとか…この辺にあるよ」
拓からメニューを受け取り、彼女に差し出した。
「じゃあ烏龍茶をお願いします」
「拓、注文して」
「オッケ」
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