3
拓が頼んでくれていた料理以外に、追加で注文するかと聞いたが、彼女は欲しいものを要求して来なかった。
だけど、取り分けてあげると「美味しい」と言って食べる様子から遠慮しているようにも思えない。
「四季くん、お手洗いに行ってくるね」
「あ、じゃあ一緒に行こう」
「は?ば!おまえ、ちょ、待て。トイレに一緒に行ってどうすんだ」
「場所わかんねぇじゃん」
「すみません…初めて来たんで、場所だけ聞いてすぐ戻って貰いますね」
「あ、あぁ…いや。行ってらっしゃい」
個室を出て通路へ向かう。
賑やかな店内の中で、彼女が腕を引いてきた。
「四季くん、四季くん」
「なに?」
彼女の声を拾うように耳を傾けると、彼女は腕を引いたまま、耳打ちをするように手を添え、
「お料理すっごく美味しいね」
と、楽しそうな声を発する。
その彼女の楽しそうな様子に、こっちまで気分が上がってくる。
「帰り道わかる?」
トイレまで案内すると、彼女は「大丈夫、ありがとう」と呟いた。
踵を返して拓の居る個室へと戻る。
襖を開けるなり、
「おまえめっちゃ美人じゃねぇか」
と、拓が騒がしい。
「だから言ってんじゃねぇか」
席へ着いて、ジンジャエールを喉へ流し込む。
「言ってねぇわ!てめぇおとぎ話のお姫様がどうのこうのって!」
「だから美人じゃねぇか」
「なるほど…いやちげぇわ!いや違わねぇけど、どこのお嬢様だよ?」
「
「へ?」
「橘高等学校」
「…本物のお嬢様じゃねぇか!」
「もう共学になってるけどな」
「そうゆう問題じゃねぇだろ」
「拓、わかってる」
「は?」
「後先考えてねぇし、釣り合ってねぇのもわかってる」
「四季、」
「でも好きなんだ…黙って見届けて欲しい」
「馬鹿野郎かおまえは」
「おまえに言われたくねぇわ」
「いやそうじゃなくて。俺は反対してんじゃねぇし」
「あ、そうなん?」
「そうだろ。反対してたら高校生って知った時点でやめとけって言ってんだよ」
「そうか…」
拓の言い回しに少し安堵した。
「四季は筋の通ったいい奴だから。俺はおまえが好きなんだよ」
「おまえいつの間に酒飲んだ?」
「飲んでねぇわ!ジンジャエールばっかだわ!」
「なんだよ気持ちわりぃな…」
「おまえが、あの子に遊ばれてるって事はないよな?」
「はぁ?」
「親父狩りに会ってねぇか?パパ活とかされてねぇか?」
「されてねぇわ、何だそれ…」
「あの子信用できんのか?四季、最近の女子高生ってこえーんだぞ?」
「文香が女子高生の時より?」
「馬鹿野郎!あれはまた意味合いがちげぇんだよ!」
「拓、大丈夫だ」
「ほんとかよ!」
「あぁ。仮に俺が騙されてたとしても、あの子の所為じゃない。俺に見る目がなかった。そうだろ、拓?」
「いや知らんけど…そうだな、四季がそう言うならそうだな」
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