「四季くんは何をしている人なの?」


「彩ちゃん?」


「わたしは四季くんの手をわずらわせてる?」


「彩ちゃん」


「四季くんは…」



わたしに会いたいと思ってた?



一番聞きたかった事なのに、言葉に出来ない。



「彩ちゃん座って」



肩を押さえられ、ベッドへ腰を降ろす。



「彩ちゃん聞いて欲しいんだ」



わたしの隣に座ると、目線を合わせて来る。



「四季くん…」


「何?」


「飴が…口の中に残ってて、喋りにくい」


「飴?」


「ごめんなさい。話の途中に…」


「いいよ、飴出す?」


「いいの?」


「いいよ。口開けて」


「え…?」



四季くんの言葉と行動を理解する処理が追いつかず、


「…んっ、ふぁ…んっ…」



両手で顔を押さえられ、口の中に入ってきた舌によって、唾液と一緒に飴を吸い取られた。



「…はぁっ…ア、メ…」


「甘いなこれ」


「…えっ…」



放心状態なわたしとは裏腹に、四季くんは平然と味の感想を述べている。



「彩ちゃん、さっき聞いたよね」



さっきと言われても、何時何分何秒の発言についての事なのか思考を整理しないと思いつかない…



「彩ちゃんの事、子供扱いした事ないよ」


「え…?」


手を握られ、指の関節を撫でられる。



「四季くん…」


「彩ちゃんの事、女性として見てる」


「四季くん…待って…」



手を強く握り返すと、四季くんが触る手の動きを止めた。



「わたしね…」



緊張して声が震える。



「こうゆう時どうしたら良いか分からなくて…」


「うん」


「四季くんはその…わたしと、エッチな事がしたいってこと…?」


「え?」



四季くんの顔をまともに見る事が出来ない。



「わたしはどうしてたら良いの…」


「彩ちゃん」


「はい…」


「彩ちゃんこっち見て」



そんな事を言われても…今視線を合わすのは恥ずかしい…



「彩ちゃん」



四季くんの手が髪に触れ、耳にかけてくれると、顎から首に手を添えて、親指で頬を撫でられた。



心地良い感触に自然と視線が上がる。



「四季くんの手、好き」


その手に自分の手を合わせ、顔を擦り寄せた。



「彩ちゃんが嫌だと思う事はしない」


「四季くん…」


「だから彩ちゃんはそのままで良いよ」

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