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動き出した車内で、四季くんが「寒くない?」と聞いてくれる。「寒くないよ」と返事をしたら窓を少し開けてくれた。
窓の外から心地良い温度の風が入って頬を
「彩ちゃんは何してた?」
運転しながら四季くんが話しかけてくれる。
「今日?」
「うん」
「今日は図書館で勉強してたよ」
「一人で?」
「亜美と一緒に」
「そうなんだ」
「四季くんは…」
何してたの?と聞こうとして、何となく聞くのを
「彩ちゃん」
四季くんはわたしを呼ぶと、片手を差し出し「食べる?」と聞いた。
その手には、飴がたくさん入っている缶の入れ物が握られていた。
「ありがとう」
四季くんの手から受け取り、缶の蓋を開けて飴を一つ口の中に入れる。
「四季くんって、わたしを子供だと思ってるよね」
飴を頬張りながら喋ると、少し話し難かった。
「え?」
「そうでしょ?」
「そんな風に見えた?」
「見える部分はよく分からない。何となく四季くんは、わたしを子供扱いしてる様に感じる」
「そんなつもりないよ」
「四季くんは大人だから、わたしには見えてない事がたくさん見えててあたりまえなんだけど」
「彩ちゃん、俺なんか嫌なことした?」
「え?」
「何か不快だった?」
「違う、不満を言ってるんじゃないよ」
四季くんとの精神的な距離を感じて勝手に落ち込んだだけと言ったら、それこそ子供っぽい。
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