最初
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四季くんと再会を果たしたあの日、四季くんから交際を申し込まれた。
晴れてお付き合いをスタートさせたとは言え、わたしは受験生となり、四季くんは仕事に復帰したばかりで、お互いの時間を優先する事に戸惑いは無かった。
会いたいなと思うことはあったけれど、四季くんの仕事が忙しそうだったから連絡も控えるようにしていた。
「だけどね…四季くんから本当に連絡がない」
「連絡してみたの?」
「してない…」
季節は春に移り変わり…わたしと亜美は高校3年に進学していた。
生暖かい日差しに目を細める様になり、もうマフラーは巻いていない。
「あたし達って、小中高大学までエスカレーター式で進学して行くじゃない?」
「ん?」
四季くんから連絡が来ないとゆう話題から、どこで話が変わったのかと思い、聞き返す。
「だからね、正直、あたし達は受験生だけどそこは大丈夫ってゆうか、特に彩はね」
「ん?」
「だから、受験生だからって勉強ばかりせずにたまには羽を伸ばしたら良いと思うよ」
「どうゆうこと?」
「彩から連絡すれば良いじゃない。四季くんに。仕事が忙しいならそう言ってくれると思うし、四季くんだって受験生の彩に気を遣ってるんでしょ、きっと」
「連絡しても良いのかな…」
「逆に何でダメだと思うの?」
「わたしから連絡すると、凄く我儘みたいじゃない?」
こう見えてわたし達はヒソヒソと会話をしている。ここは図書館だから。
「どうしてそう思うの?」
「だって…四季くんは大人だし、わたしは恋愛経験なんて…」
「0に等しいもんね」
以前付き合っていた彼氏が居た。だけどどんな付き合い方をしてきたのか記憶には無い。
「四季くんが初めて付き合う人だよ」
「え?」
「彩にとっては、四季くんが初めて。これから楽しい事いっぱい体験できるんだよ。わくわくするでしょ?」
「うん」
亜美の励ましは心強かった。
「四季くんって、彩からの連絡を我儘だと思う様な人じゃないよ」
「うん、分かってる」
「彩はさ…頭が良いから考え過ぎちゃうんだよね…もっと答えは単純だよ」
「…うん」
「土日に図書館に入り浸ってないで、もっと彩のしたい事に時間を使ったら良いじゃない」
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