第23話
家に帰ると、私は改めておばあちゃんにしっかり叱られた。
怒ったおばあちゃんは怖かったけれど、私はそれ以上に嬉しかった。
会わなかった時間も事情も関係ない。
この人はちゃんと私を大事な孫としてこの家に迎え入れてくれたんだ。
最後に「これからはちゃんと連絡しなさい」と言われて私が素直に「わかった。約束する」と言えば、おばあちゃんはしっかり切り替えて今日の話をたくさん聞いてくれた。
大きな通りに出たところで声をかけてくれたのが隣のユウマくんだったこと、海に誘われて行っていたこと、そこはちょっとした感動を覚えるくらいにキラキラしている場所だったこと、それから「友達がたくさんできた」という報告もちゃんとした。
「私に声をかけてきたのがユウマくんでしょ?その弟のシロちゃん、同じく一年生のモンちゃんオグちゃんに、三年生の大きい木戸くん!」
「そんなにいっぱいいたのっ?」
「だけじゃないよ?他にも三年生がまだ四人いた!」
「覚えきれないねぇ」
「うん、私もその四人は顔しか覚えられなかった!」
たった数時間遊んだだけで“友達”と呼ぶには私自身それなりの気恥ずかしさもあったものの、おばあちゃんはとにかく嬉しそうに「うん、うん、」とたくさん相槌を打ってくれた。
「いい機会だから、時間が遅くならないうちに隣に挨拶に行こうか」
「えっ?」
「隣の息子らとこれから仲良くするなら尚更挨拶は必要でしょう?」
おばあちゃんのそんな提案で、私は夜ユウマくんとシロちゃんの住む隣の家へ挨拶に行くこととなった。
インターホンを押して出てきたのは厳格そうな四十代くらいの男の人で、その人はおばあちゃんと私に丁寧に挨拶をしてくれた。
ユウマくんと目元がそっくりなお父さんだった。
ただその人は私達にクスリとも笑いはしなかったから、私の目には少し怖くも映った。
「妻を呼んできますので」と言われて玄関で数分待たされた後に現れたユウマくんとシロちゃんのお母さんは、三十歳くらいと思われる少し派手な人だった。
私のように腰辺りまである長い髪は金色で、化粧も爪もとにかく賑やかで、それはまるで都内の街中でよく見かけた若者のようだった。
見た目に関しても年齢に関しても、この二人が夫婦だなんて意外だ。
“再婚か?”なんて野暮なことを思ったりもしたけれど、家に帰ってからおばあちゃんに聞けばユウマくんを妊娠している時から隣に住んでいるからそれはないと教えてくれた。
たしかに、あのお母さんの口元はどことなくユウマくんに似ていたような気がする。
いやでも、全体的に見ればシロちゃんに似ていたような…
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