第19話

「はっ…っ、……んっ」


私を強く抱き寄せて激しいキスを繰り返す彼に、いつのまにか私も彼の首に両腕を回してそれに応えていた。


彼はキスをしながらも私のズボンと下着を下にずり下げて、私のソコに強く指先を押し当てた。


もうその時点でしっかりとした水音がなるくらいに、私はしっかりと濡れていた。



それからすぐに私から顔を離した彼は、私の体をまた反転させて洗面台へと向かい合わせた。


鏡越しに、背後にいる彼が私の腰に左手を置きながら右手でズボンを下げているのが見えて、私は洗面台に両手をついてお尻を少し突き出した。



それからすぐに私のナカに入ってきた彼は、すぐに私の腰を両手で掴んで激しく私に腰を打ちつけた。


「んっ、…あっ、あっ、」


「はぁ、はぁ、はぁ、」


私から漏れる声と彼の荒い息遣いに、もう目の前まで来ていた大きな快感に身を委ねたくなった。



「はぁ、はぁ、…見て……めっちゃエロい顔してる…」


彼がそう言って後ろから私の顎を掴み鏡に向けた私の顔は、確かにこの上なくエロい顔をしていた。


「やっ、…」


「はぁ、はぁ……俺もうイクっ…」


彼はそう言って私の顎から手を離すと、また激しく腰を打ちつけてそのまま果てた。




「はぁ、はぁ、はぁ、…」


しばらく息の上がっていた彼は、私の背後から洗面台に両手をついて息を整えていた。


私はその両手に挟まれたまま、なんとなくその場に立ち尽くしていた。



「俺だけイッちゃってごめん…」


「ううん、気持ち良かったよ」


「ははっ、すげぇ良い子じゃん」


彼はそう言いながら真新しいタオルを取って私の背後にそのまましゃがみ込み、私のお尻にかかった自分の欲の全てを丁寧に拭き取ってくれた。



「顔もめちゃくちゃ可愛いし、」


「……」


「素直だし怒んないしわがままも言わないし、料理だっていつも文句なく全部美味いし、」


「……」



私が彼のそれに何も言わなかったのは、それが私ではなく自分自身に話しかけていることだと分かっていたから。




「なのになんで俺この子じゃダメなんだよ…」




…バカだなぁ。


ハルミが好きだからに決まってるじゃん。


どれだけ似ていたって私は“ハルミ”じゃないんだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る