誕生!! 魔法少女ジューシーミカン 3
なんということだ。
脳内に声が聞こえてくるなんて……。
そうか、わたしはきっと頭がおかしくなってしまったんだ。もうわたしは死んでしまったんだ。
そうだ、きっとそうに違いない。じゃあ、もう……寝よう。
お休みなさい。zzz……。
(こらこら! 寝ないで!)
あなたは誰?
(私はカードに宿るお姉さんです)
え? 今わたし達を襲ってきてる人もお姉さんだよ。
二人もお姉さんが登場したら紛らわしいよ。
(ではこうしましょう。あなた達を襲っているのは敵のお姉さん。そしてわたしは美人で
お節介なおばさんじゃなくて?
(美人のお姉さんです)
美人だけは譲らないんだね?
(それはともかく、あなたは一言こう言えば良いのです……
変身変身変身変身変身変身変身変身――
(連呼しなくても良いのですよ。さあ、目を覚まして! その時、あなたはもう立派な魔法使いです)
わたしは意識を取り戻した。
「え!? なにこれ!?」
わたしの右手がオレンジ色の光で煌々と輝いている。
違う、よく見たらカードが輝いているんだ。
いつの間にか手にしてるこのカードが……。
やがてそれは光でわたしの身体を包み込む。
「え? え? ええええええ!?」
わたしの着ていた服がどんどん変化していく。
上着が……スカートが……靴が……
次々と可愛いフリフリになっていく――。
最後にカードがステッキに変わる。
とうとうわたしの衣装はド派手なミニスカドレスになっていた。
「魔法少女! ジューシーミカン!! みんなまとめてジューシーにしちゃうんだから!」
わたしが、魔法少女になった瞬間であった。
でも勘違いしないでね。
今の決め台詞は決してわたしの意思ではないんだぞ☆彡
敵のお姉さんは舌打ちをする。
「ち、まさかこんなガキがカードに選ばれるなんて……」
わたしは気にせず雪丸に駆け寄る。
「雪丸ー! 雪丸しっかりしてー!」
「ああああ! 揺らすな揺らすな! ダメージがデカいんだからー!!」
雪丸は死んだふりをしているだけだった。
「生きてたんだね雪丸ー!!」
「だから揺らすなー!! って、お前……その格好」
「うん。なんか変身しちゃった……」
「そうか、カードに選ばれたんだな」
すると敵のお姉さんがわたし達の会話を遮るように叫んだ。
「こうなったらもうあんたらの茶番に付き合ってられない! 力づくでカードを奪い取るのみ!
また、あの渦が攻めてくる。
「雪丸ー! 雪丸ー! どうしたらいいのー!!」
わたしは雪丸を揺さぶる。
「落ち着け! それから揺らすな! オレが受けたダメージ結構デカいんだから! とりあえず何でもいい! 足元に絵を描け!」
「どうして?」
「いいから、早く描け! 時間がないんだから!!」
「分かった!」
言われるがままに足元に絵を描く。わたしが大好きな蜜柑の絵だ。
「そしたらイメージするんだ。その絵が立体になるイメージを!」
え? イメージ? よく分からないけどこんな感じ?
すると絵が光り出して大きな壁が出来上がった。そう、蜜柑の形をした壁だ。
襲ってきた渦はその壁に衝突し消滅した。
「上出来だ!」
魔法が成功したのを見て誇らしげな様子の雪丸。
「やった! やったよ雪丸ー! わたし魔法使いになっちゃったー!!」
思わず雪丸に抱き着いた。
「だから揺らすな!」
敵のお姉さんは舌打ちを連呼する。
「チッチッチッチッ! ああああああああぁぁぁくそくそくそくそ! たった一回防いだくらいでいい気になるなよ!」
数発の渦が次々襲ってくる。
「来るぞ!」
「うん! 任せて!」
わたしはその度に壁を作って防ぐ。
「このガキが! いい加減くたばりやがれ!」
次第に敵のお姉さんは肩で息をし始めた。
すると雪丸が次の指示を出す。
「よし、必殺技だ! ジューシー
「うん、任せて!」
「あ! やっぱり待て、その技は強力なやつだった! もっと他の技を――」
なんか雪丸が制止しようとしてきたけど、もうわたしのテンションの引っ込みはつかなかった。
「ジューシー柑橘……」
するとわたしが持っているステッキにオレンジ色の光が集まって来る。
ステッキが煌々と輝く。
とんでもない光だ。
わたしはステッキを振りかざす。
「スプラーーーーッシュ!!」
とんでもなく超ジューシーなエネルギーが放出される。
それは容赦なく敵のお姉さんの顔面へ直撃!!
「ぎゃああああああ! 目が、目が染みるうううう!!」
敵のお姉さんは気絶した。
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