第55話

とはいえ、曲作ってる過程が楽しかったのは事実。そこは否定しない。だからまぁ、お礼言うくらいはしようかなぁって。結果的に色々助けてもらったわけだし。



正直、晴都がいなかったら雪月花は解散してたかもしれない。そういう意味では、晴都は雪月花の命の恩人だ。雪月花のね。




「不満そうだな。」


「不満だね。でもまぁ、あんたと曲作んのけっこー楽しかったし? 根に持ってることもあるけど、私も同じくらいは酷いことしちゃってたかもだし? ここは1つ大人になって、今までのことは水に流してそこそこの友人くらいにはなってあげてもいいかなーって」


「友人ね……友達とすら思われてなかったのかよ……」


「なんか言った? まだ私とは友達になるつもりないとか言うわけ?」


「ちげーよ。友達だろ? はいはい。今日から友達な。」


「なんか腹立つけどまぁいいや。じゃあとりあえず友達になった記念として、好きな食べ物を知ることから」


「ガキみてぇな質問だな。」


「ガキの時は友達じゃなかったんだから仕方ないでしょ。ほら、好きな食べ物言ってみ。」




別に食べ物じゃなくてもいいんだけどね。それが一番ポピュラーかなって。




「好きなものねぇ…………ぴあの、かな。」




……は?




「…………どっちの?」




「弾く方に決まってんだろ」って言うのは分かってるのに、ついそんなことを聞いてしまった。いやでも、ピアノは食べ物じゃない。




「自分で考えろ」




そう言ってリビングから出て行く晴都。ちょっと待て、逃げるなよ。



やっぱり嫌いだ、こんなずるい奴!!







【晴れのちぴあの/完】

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晴れのちぴあの【完結】 七夕真昼 @uxygen

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