第51話

2人には、朝一番に謝った。曲ができたことも話した。2人も私に謝って、お互い何度も謝って、仲直りをした。結局私たちは全員、何度辞めようとしても音楽を辞められない人間なんだ。



あの輝くステージに立った時の高揚も、熱気も忘れられない。



辞めたくても辞められないなら、それはもう好きだってことなんだと思う。好きと嫌いは紙一重ってか。



私は今、隣のクラスにある人を探しに来ている。




「ねぇ、奥村晴都いる?」


「奥村くんなら音楽室に行ったよー」


「ありがと」




ピアノでも弾いてんの? 本当に好きだなぁ。昼休みになってすぐ来たのにもういないとか。



楽譜を持って、音楽室に向かう。特別教室棟への廊下を曲がったところで、ピアノの音が聴こえてきた。



たしかに、晴都の音だ。

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