第49話
「ただいま!!」
「ぴあの!? どこ行ってたの!? ていうかあなた、びしょ濡れじゃない!」
「後で!!」
そう言って部屋に駆け上がろうとしたけど、母さんに捕まって風呂に放られる。さっき入ったんだけどな。でも、レコーディング4日前で風邪引くわけにもいかないか。
あと4日? 今の私なら余裕。この根拠の無い自信は、ステージに立った時のやつに似てる。
風呂から上がって部屋にこもった私は、白紙の上に思いつく言葉を並べていく。つきまやはなびが言ってた、「待つ」ってのは使えるな。私なら誰を待つ? どんな気持ちで待つ? 何を待ってると切ない? 早く来てほしくてたまらなくなる?
この物語の主人公は女の子。私であって私じゃない子。どこに立たせようか。そうだな、海。砂浜。水平線の先を見つめて、まだ見えない誰かを待っている。その人は海の向こうにいて、例えば、遠い国? 遠い国から、帰って来るのを待ってる? 何年? 5年くらいはどうだろう。
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