第40話
音楽で出会った私たちは、音楽で仲違いをして、ただの他人に戻った。
出会いも唐突だったけど、終わりも唐突だった。出会ったのもたしかあの楽器屋だったっけ。何の話だったか忘れたけど、偶然そこにいた3人で話して、次の日学校で会って、運命じゃん、組もうって言った。そうだ。懐かしい。
村井さんにも連絡して謝らなきゃな。できなくなったって。でも、もう少し後でいいかな。今は何も考えたくない。
ああほんと、散々だ。だから音楽なんか大嫌いなんだ。ピアノを弾いてた時だってそうだ。私から何かを奪うばっかで、得られたことなんてない。
とうとう歌まで歌えなくなった。これじゃレコーディングどころじゃないし。バラード作れない以前の問題。
家にいると母さんがレッスンしてるピアノの音が聞こえて来るから、レッスンが終わるまで歩くことにした。
「……くそったれ」
空を見上げてわざとらしく舌を打つ。こういう時に限って雨だ。傘を差すのは面倒臭い。いいや、このまま打たれるか。パーカーのフードを被って、悪天候へ歩き出す。
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