第37話

2人の呆れたような視線が私に刺さる。なんでそんな目で見てくんの? 私だって、ちゃんと考えてる。何も考えてないわけじゃない。




「うちら、ゆきみーの作詞ないと何もできないんだけど。」


「私だってちゃんとやってる」


「でもサビどころか1行も歌詞寄越してくれないじゃん。それじゃあ代わりに作曲だってできないよ」


「じゃあ代わりに書いてくれればいいじゃん! いつもいつも私が書いて、2人なんかそこに色々付け足したりしてるだけでしょ!? よくて作曲してくれるくらいじゃん! 作詞なんか一度だってしたことないくせに!!」


「だったら書けないって言えばよかったじゃん! もっと早くさぁ!! こんなギリギリまで1人で背負い込んでカッコつけてるつもり!? なんなの!? うちら3人でやってきたのにゆきみーはうちらをそういう風に思ってたんだ!?」


「別にそんなこと一言も言ってないけど!?」


「ねぇ、やめなよぉ。今そんなこと言ったってどうにもならないでしょぉ?」


「そりゃはなびはテンポ決めるだけなんだから楽だよね。私みたいに歌えないとか無いもんね。」


「はぁ? じゃあドラムなくてもできるって言うのぉ? 誰がこのバンドの心臓やってると思ってるわけぇ?」




最悪だった。ここにいる全員が、喧嘩してる場合じゃないって分かってるのに。

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