第36話
「ゆきみー? どうした?」
「喉調子悪いのぉ?」
「ごめん、もっかい」
次はちゃんと歌わないと。息を吸い込んで、
「──……」
やっぱり、声が出なかった。
なんで? いつもはちゃんと歌えてるのに。だって、自分で作った曲だよ? 歌えないなんて、そんなことあるわけない。いつも通り歌えばいいのに。
……あれ。いつも、どうやって歌ってたっけ。分からない。思い出せない。私の、歌なのに。
なんで、歌えないの。
「……今日はもうやめとく?」
つきまが心配そうに言う。でもまだ、練習を始めて10分も経ってない。
「それに、ゆきみーはバラードの作詞もあるし」
そうだ。まだ1行も書けてないんだった。
「……こんなこと聞くの悪いって分かってるんだけどさ。間に合うの?」
「……分かんない」
「分かんないって……あと5日しかないんだよ?」
分かってるよ。分かってるよ、そんなこと。
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