第24話

ベースを持って学校に向かう。村井さんとの話があった日から私達の練習量は増えた。自分達の技術や表現力、曲の練度を高めるために今までよりも細かい所を突き詰める。暇さえあれば録音を聴いて、どこが良くてどこが悪いか書き出したのを3人で話し合ったりね。




「よ。」




勝手に眉間にシワが寄ってくのを自分でも感じる。




「今日も練習すんの?」


「話しかけないでくれる。」


「釣れねーなー。せっかくまた幼なじみになったってのによ? 仲良くしよーぜ雪宮サン」


「コンクールで自分に勝った相手じゃないと友達にならないんでしょ? 奥村クン。」




キッと睨めば、一瞬驚いたように目をぱちくりさせる奥村晴都。そして、声を上げて笑い始めた。この前とは違う、年相応の少年の笑顔で。



そうしてると、ちょっとは良い奴そうに見えないこともない。




「へぇ、まさか覚えてるとは思わなかった! 俺のことは覚えてないって言ってたからさー。」

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