「ぴあの。今日の夕ご飯何がいい？」

「え、任せるよ。」

雪月花のデビューが決まってから母さんの機嫌がいい。私以上に喜んでるんだろうな。

「ぴあのがピアノ辞めた時は、もう音楽なんてやらないと思ったし、バンドやるって言い出した時はもうどうしようかと思ったけど」

どうしようかと思ったって……。

「だってあなた、ずっとピアニストになるって言ってたもの。晴都に勝つってそればっかり。」

結局勝てたことは1回も無かったけどね。

「ピアノは弾けたけど、向いてなかったんだよ。」

だって私のピアノは何を弾いたって刺々しい音にしかならないんだもん。晴都みたいに優しい音は出せなかった。

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